St_Hakky’s blog

Data Science / Human Resources / Web Applicationについて書きます

専属の採用担当者というのは、もうあってはならないのかもしれない

こんにちは。

また採用を頑張らないといけないのですが、やっぱ採用って激ムズパラダイスだなと思っていて、なんでかっていうと、採用だけで完結しない要素が多すぎるからです(ツラミ)。

今日はそのあたりについて徒然と書いていこうかと(注意:これは採用経験が特にめちゃめちゃあるわけでもない野郎が書いた記事です)。

○採用は採用だけで完結はしない

まず、企業を選ぶときに、例えば求人媒体を眺めるときに、私たちはドラッグストアにある化粧品とか本屋にある本と同じような感じの心境になっているのではないかなと思います。

「正直、この企業でいいかといわれると、別にあっちの企業でもいい気がする」、みたいな。で、複数企業とりあえずエントリーしてみて、なんか印象が良かったところに行く。

これは、消費者(求職者)に見る目がないのではなくて(もちろん、その場合もあるのだろうけど)、実際に企業が「待遇や条件などの面において」同じような感じの企業になりつつあるからではないかなと思っています。

その意味で「A社とB社ではほとんど変わらないっすね」みたいな感じになって、「なんか活動している人がイキイキしているからここにしました」みたいな、感じになってしまうのではないかなと(求職者にとって、それが悪いと言っているのではなく、この現状は企業にとっていいか悪いかでいうと、悪いのかなと)。

そうなってくると差別要因みたいなのがなくなってくるので、例えばベンチャー企業だと、よくわからないけど「ベンチャーっぽい」雰囲気の写真とかを使ったり、文言を使ったりして採用をしているところが多いのではないかなと思います。オフィスとかがまさにそんな感じかなぁと。

それっぽくきれいなオフィス。奇抜なデザインのオフィス。特に意味もなくなんかGoogleみたいな感じの雰囲気っぽくしているオフィス。

そんなオフィスがあって、みんな優秀と謳い、且つ待遇も人の良さも事業形態もそこそこ一緒。

そんな状況において、「採用」っていう外側の入り口だけそれっぽく固めて広報をしても、求職者の目は正直なので、通用しないか、早期離職になるかのいずれかになります。

だから、採用は採用だけ頑張っても通じるものでもなく、採用担当者が優秀で素晴らしいことは大事だけど、それだけじゃダメなんじゃないか、と。

○業務効率化の次に来る「現実」は何か

ITやAIなどを使って業務効率化なんてのが叫ばれているけれど、そんなものは今後はおそらく普通にできてしまうし、それはもう避けられないと思います。そうすると、業務を遂行するのに必要になる人間や配置なども変わります。

そうなってくると、確実に中にいる人材の質は必ずあがります。今までは、Aクラス、Bクラス、Cクラスとある程度人材の質にばらつきがあっても、それをカバーする時間的余裕(終身雇用)も、階層的な役職の付与による管理などによる対応も、ある程度は可能だったと思います。

しかし、世の中の動きが早くなって、且つ業務効率化ができるようになると、企業はじゃあ何を考えるかというと、「動きが早いのにもついていける手の動かせる優秀なAクラス人材」だけで企業の中を埋めようとします。

そうじゃない人たちは、例えば業務委託やアルバイト、パートなんて言う形で一時的な雇用関係を結ぶようにします。また優秀な人だけどフルタイムでは難しいみたいな場合は、副業みたいな感じで、スポットコンサルや、土日だけ来てもらう、アドバイスだけもらうみたいなこともあると思います。

既にこの動きは起きていますが、今までのような、長期的な雇用関係を結ぶという、ある種リスクの高いことはしない傾向はより強くなると思います。

これが、ITやAIなどで業務効率化が進んだ先にある現実かな、と。大雑把に言うと、もう優秀な人しかいらない、という現実です(ツライので雇って汗)。

しかし、ここで考えられるのは「そんなある程度長期的に活躍できるような(or してくれるような)、Aクラスの人間はこの世の中にたくさんいるのか」ということです。答えは、当たり前ですが、「いません」、となると思います。

○今後はもう、採用担当専属の人がいてはならない気がしている

このような背景を踏まえ、今後人事側にとって重要になってくるのは次の2つだと思います。

  • 優秀な人材を確保・維持し、組織を成長させる職場環境の基盤作り及びその広報活動を行うこと
  • 「現場」にハマる人材を如何に見出し、活動できるようにするか

こう考えると、「採用だけ頑張っている採用担当者」は、100のモノを100として、ちゃんと成り立たせることはできても、今現状50のものを、100にはすることができないんじゃないかなと思うわけです。

たとえば、採用広報をめちゃめちゃ頑張ったけど、企業の中身が変わっていないので、優秀な人から順番にやめていく、みたいな感じです。採用では、50を100にはできないので、結局は50になると。

じゃあ、50を100にするために何が必要かというと、内部の人事制度や文化づくりがまず大事だと思います。見せ方はもちろん大事ですが、中身が大事だなぁと。

採用担当の手伝いをめちゃめちゃ頑張る人、はいてもいいかもしれませんが、採用担当専属の人がいても、この内部の人事制度に関与できなくなってしまったり、トップに近い場所で今後の経営戦略やVisionを共有したうえで、今後の人材の配置やバランス、福利厚生などの制度、そして最後に採用の形を決めることができなくなったりしてしまうんじゃないかと思うわけです。

また、採用を専属で置いてしまうと、「現場」が見えなくなってしまいます。今の現場にはどんな人がたりていなくて、今後こんな業務があるからこんな人がほしくて、っていうのはうまく言語化はできていなくても、やっぱり現場で働いている人が一番わかっているんじゃないかと思います。

そういうのも見えないまま、ただ単に会社の理念を綺麗に紹介して、多くの人たちに会って、そしてイベントを企画して、ということを繰り返しても、やっぱり難しいなぁと。

特に動きが早い世の中になってきて、採用だけを独立させて動かす、というのでは、動きも遅くなってしまいます。

○戦略を踏まえ、内部を固め、実働を譲渡する

じゃあどうすればいいか、なんですが、次の3つが大きなポイントだと思います。

  • 経営戦略に根差した将来的な組織の成長を具体化できる人事チームであること
  • 採用専属のチームを廃止し、マネージャーに採用の権限とある程度の実働を譲渡し、人事チームはその指揮をとること
  • 組織の人事改革を、組織のブランディングに結び付け、デザインと広報を実施すること

CEOやCTOなんていう言葉がありますが、人事専門のトップとして、CHOも必要だなぁと。

リファラル採用なんてのも流行ってますが、これが成功するには、社員が友人などに会社を紹介したいと思えるかという点と、社員が採用の重要性を理解しているかという点の2点が重要です。それ以外にも動きを早くし、且つ現場の感覚とより近い形で採用を実現させるためにも、現場監督者であるマネージャーに権限を与え、実現をさせることが大事だと思います。

これらから、採用というものを全員でとらえることが大事だなぁと思います。全員で採用をする。これをしないと今後はうまく採用をして定着をさせるなんてできそうにないかな、と。採用の手法とかも大事だけど、それだけではダメだなぁと最近は思っています。

○最近ぼんやり眺めていた某企業の採用戦略

具体的に上のようなことをうまくやっている企業をこの前見つけて、ふむふむと思って眺めていました。これは完全に私が傍から眺めていただけで、内部を探ったわけでもなんでもないんですが、露出しているメディアや媒体、そして企業の売上の立て方などから、「あぁこれはうまいなぁ」と思った例です。

技術肌の強い成長過程にあるベンチャー企業なので、採用だけ頑張るわけにもいかないんですが、採用を頑張らないわけにはいかないという、感じのスケールの企業で、toCの特に若い人を中心にサービスを展開している企業を想定してください。

この企業では、採用を(おそらくですが)、以下のような感じで攻めています。

  • CTOや技術のトップ陣が実働として採用活動に動き、技術メンバーにもその文化を根付くようにしている
  • 採用の手伝いをめちゃめちゃ頑張る人が人事チームとして機能(たぶんいても2~3人くらい)
  • インターンを積極的に受け入れて、その中から採用を決める

「インターン生=サービスのユーザーになりうる人」という形で、且つ「採用候補者」という位置づけなので、採用の広報の仕方もガッツリやれば、結局はサービスの広報になるという一石二鳥な感じです。

また、この企業の面白いところは、ある程度の規模もあり、採用専属の人を置ける規模感でありながら、技術のトップ陣が積極的に採用や広報にかかわっている点です。まさに以下で話すすべてを網羅している感じの企業です。

また、採用を採用だけで完結させるのではなく、採用をサービスの広報であったり、事業に積極的に関わらせたり、会社自体の宣伝にも活用する戦略を描けていて、そしてそれを机上の空論ではなく実際に実働にまで落とし込めるようにしているのが面白いなぁと思って今も注目してみています。

こういうのはtoCの企業は割とやりやすいのかなと思っているのですが、toBでもできる部分はあるよなぁと思いながら考えています。

まぁ、いろいろ書いたけど採用チームだけじゃ、採用を成功させるための例えば「給与をあげる」みたいな(他にもあるけど)、そういうことってなかなか難しいよねって話ですね(笑)

それでは、こんな感じで。