こんばんわ。
最近は、企業文化をどのように発信して求職者(就活生など)がまず自分で「この企業の風土ややっていることは自分に合っている」と感じてもらうか、また「自分にはあっていない」と感じてもらうか、ということについて考えている。
就活のスケジュールが多様化し、また採用にかかるコストも多くなっている現在、採用ナビにとらわれない形の採用方法が企業で実践されている。
今日は、MicrosoftのJobsBlogを例に、「企業文化を求職者にどう発信するか」について考える。
blogs.microsoft.com
○求職者が踏むべきステップへのギャップ
私自身が学生なので、会社のことは社会人ほどわかっているわけではないが、学生の話と企業の方の話を両方聞ける状況にいるため、「企業が求職者に踏んでほしいステップ」と「学生(求職者、就活生)が実際に踏んでいるステップ」の両方の話を聞ける。聞いたところ、以下のようなケースが多い。
■企業が求職者に応募に当たって踏んでほしいステップ
- 企業の存在を知ってもらう。
- 企業の魅力、雰囲気、事業内容を企業説明会や企業の採用のために作成しているブログ、Facebook、twitter、採用ナビなどを通して知ってもらう。
- 自分がその企業にあっているか、またその企業で働きたいかを検討する
- 応募する
■学生(求職者、就活生)が実際に応募までに踏んでいるステップ
- 採用ナビなどで、自分がいきたい業界の企業を調べる
- 会社説明会や企業のHPを見る。
- 「選考対象に入れてもらう」ためによさそうな企業に一通り応募する
- 選考を経て、勝ち取った内定先の中から自分に合ったものを選択する
大小はあれ、残念ながら「自分がその企業で働きたいか」を真剣に考え、厳選して企業に応募している学生はほとんどみたことがない。「内定を獲得」するために、多くの企業にアプローチしたほうが可能性があがるし、リクナビなどの画一化された情報では、企業に実際に入って活動したことがない学生からすると判断がつかないためである。
また、現在はワンクリックでエントリーができるため、これが応募者が「とりあえずエントリー」できるようにしている。つまり、エントリーかかる労力が少ない。これが「文化や社風が自分にあっているか」を考えなくてもいいようにしていることにつながる。
○企業文化を「肌感覚」で伝える重要性
このように、応募に対する労力が少ないことが、応募前の段階の思考量を少なくしている。数回程度の面接だけで、大量の求職者から企業文化に合い、かつ優秀な人材かどうかを判断することは難しい。ならばせめて応募の際に「この企業が自分に合っているか。自分の能力が発揮できるか」を自分で判断してから応募してもらったほうが、採用のコストや労力を少なく抑えることができる。
最近思うのは、企業への応募は「スーパーでのみかん詰め放題」に似ていることである。スーパーでみかんを一袋に入るだけ詰めれる場合、どうするか。「良さそうなみかんをとにかく入るだけ入れようとする」だろう。それと同じというと、企業はみかんなのかとかいわれそうだが、そうではなくて「思考回路が似ている」ということである。「よさそうと直感で感じる、目の前にある与えられた情報の中で良いと思った企業に応募する」のである。
そのため、企業情報や企業の文化を文章でつづっていたり、一般的な話をしたりしてはいけないと思う。「最近の若いやつは、もっと努力せなならん!」と思うのは至極もっともだが、実情はできるだけ考えたくないのである。なので、企業が採用で用意しているコンテンツ(リクナビなどの掲載情報、ブログ、SNS、企業HP)などをさらっと眺めて、「なんとなくこの企業いいな」とか「なんとなくこの企業は向いていないな」とかを感じてもらうことが大事である。そして、その後に就活の話を読んでもらったり、自社に興味を持ってくれた人にはさらに詳しく知ってもらえるように様々な機会やコンテンツを提供することが大事であると考える。
○文化を伝えるために
まず、文化を知っていることが大事であり、文化をしっかり構築しようとしていることが大事であるが、それができていなかったとしても、以下のような形で求職者に感じてもらうことができると考える。
- 「広報」ではなく、ありのままを。
- 画像、動画を多用する
- 社員の考え、日々のことをオープンにする
- ブログやSNS、企業のHPは企業文化を落とし込んだデザインにする
動画や画像は、社内であったイベントなどでとったものを紹介すればいい。もし顔出しNGなら顔出しをしなくてもいいと思う。その顔出しNGということが感覚として伝わるからである。動画なども、普段の社内の普通に仕事をしている様子をちょっととってアップするだけでいい。もちろんコンプライアンスの問題でできないことも多いと思うが、それでも社内の実際に仕事をしている雰囲気を知ってもらうのはいいことである。また、社員の仕事に対する考えやプライベートのことなどを会社のブログなどで公開できるのであれば、そうしたほうが、より文化を感じでもらえる。
変に編集したものでなくとも、編集していないものなどでも、若者には伝わると思うし、そのありのままの感覚値をそのまま伝えることができるため、文字通り感じてもらうことができる。
こういったことは広報ではなくありのままの形でいいと思うが、ブログや企業のHPなどは文化を徹底的にデザインに落とし込むべきである。中身も大事だが、デザインで感じでもらうことが最重要である。
○MicrosoftのJobsBlog
MicrosoftのJobsBolgは、すごくよく企業文化を表しつつ、また求職者に対して「大学で受けるべき授業」「マイクロソフトにおけるキャリア」「マイクロソフトの社員の考え」などの情報を提供している。
ここで働いている人たちの様子や考えを感じて興味を持った人は実際に応募をし、興味を持たなかった人は応募をしない。また、興味を持ってくれた人にはさらにいろんな情報を知れるように深いテーマのコンテンツも用意されている。
また、キャリアについて考えるように促すためのコンテンツが用意されているなど、求職者が興味を持ってくれた場合に「自分で深く考えるためのポイント」を展開している。これは、企業にとっても社会全体にとってもすごくためになり、またその人自身が考えるきっかけになる。
企業文化を感じてもらい、その後求職者自身に考えてもらえるようにすることは企業にとっても個人にとってもいいことである。採用方法が多様化している現在、画一化された採用ナビではなく、企業自身のコンテンツをより強化していくことが大事だと思う。それでは。